1. 偏りのない刃物鋼 刃物の材料を作るとき、今までは鉄を溶かし、その中へいろいろな合金成分を混ぜ溶かして、それを大きな容器に注い で固め作っていました。この時、刃物材料は容器の中で固まるまでに比重差、融点差、その他いろんな条件が重なり、 一つの固まりの中ではどの位置をとっても均一な材料にすることはとても困難な事でした。そこでこの合金成分を含ん だ溶湯を、霧吹き状にして、いったん小さな粒にし、それを集めて、再び焼き固める技術(粉末治金法)ができるように なりました。こうすれば従来の材料の偏りが解消される訳です。
2. 細かな粒子ほどよく切れる刃物材料 大きな容器に注いで固めた鉄塊よりは、霧吹き状にして、小さな粒にした方が内部の粒子は細かくなることは容易に理 解できると思います。 刃物の内部を拡大して見ると、様々な粒子から構成(組織と言う)されています。それはあたかもコンクリートのように セメントと砂(砂利)のように構成されていると考えてください。セメントは砂をとどめる役目を、また、砂(砂利)は硬 く減らない役目をお互いに補い合っているのです。刃物においても同様で、焼入れした硬い素地(マルテンサイト)の中 に硬い炭化物(炭素と鉄、合金元素の化合物)が分散しているのですが、この炭化物は細かくてまたまんべんなく均一に 分布しているのが好都合なのです。
3. さびない刃物材料 優れた製鋼技術、成分調整の開発など先端技術の粋を結集して作られたものが粉末ハイス鋼です。 粉末ハイスは上に述べたとおり、材料内部に偏りがなく、粒子が緻密でしかも、ほとんどさびない刃物鋼です。 (上記の文献は材料メーカーの武生特殊鋼材㈱パンフレットから抜粋)
牛刀175mm
ペティ150mm
菜切160mm
ペティ120mm
三徳160mm